第30回研究成果発表会
「第30回研究成果発表会」を、2023年11月6日(月)開催しました。
31名の研究者が登壇発表、パネルディスカッションを通じ、研究成果を発表しました。
開会のご挨拶
開会にあたって、当財団理事長・中山晴喜が登壇しました。
2019年以来4年ぶりに会場開催となる発表会が実施できたことを喜ばしく思うとともに、例年になく発表テーマが多方面に及んでおり、優れた研究成果の発表を期待していると述べました。
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登壇発表
6名の研究者が登壇発表を行いました。
今年度も多岐にわたる研究テーマの発表があり、調査研究、助成研究A、助成研究B、30周年記念研究助成それぞれから発表していただきました。
ポスター発表
31名がポスター発表を行いました。
各ブースで研究成果についての質疑応答や議論が行われました。
- 成塚 拓真(立正大学データサイエンス学部)
最小到達時間に基づくサッカーのスペース評価の実践 - 山之内 幹(福岡女学院大学 人間関係学部)
重度重複障害児の自発行動を促すポケットオルゴールの開発と汎用化 - 本吉 達郎(富山県立大学)
視覚障がい者が触れて楽しむプログラミングツールを用いた体験授業の実施と楽しさの評価 - 三浦 政司(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)
対話型モデリング手法「GBSP」におけるメカニクスのパターン化とシミュレーションへの接続 - 筧 康明(東京大学大学院情報学環)
音のARを用いた移動型3Dオーディオゲームの開発と実践 - 高見 友幸(大阪電気通信大学 総合情報学部)
中国象棋とチェスの起源に関する研究 - 福井 隆雄(東京都立大学 システムデザイン学部)
VR空間における擬似触知覚:接触物体の色に着目して - 長久 勝/小野 憲史(NPO法人国際ゲーム開発者協会日本)
「ゲーム開発体験ワークショップ第2期」にむけて - 青木 孝子(東海大学)
大十二面体とその空間充填に関する紙工作教材開発のための研究 - 太田 和彦(南山大学総合政策学部)
図書館でシリアスボードゲームジャム ―ゲーム開発を通じた社会構想と相互学習― - 西田 佳史(東京工業大学)
転落誘発特徴の遊具化に基づく子どもの行動予測モデル開発 - 久保山 力也(大阪大谷大学人間社会学部)
ゲーミングによるインクルーシブな日本社会の創造 - 照井 敬生(同志社大学)
コロナ危機下におけるビデオゲーム制作者へのクラウドファンディング支援の研究 - 大山 剛史(岡山県立大学 情報工学部)
ゲームの達人の技に迫る脳の研究 - 山根 信二(東京国際工科専門職大学 工科学部デジタルエンタテインメント学科)
ゲーム用語のグローバル対応に関する研究: ゲーム教育基盤の観点から - 大谷 通高(総合地球環境学研究所)
社会課題をリフレーミングするゲーム的要素に関する研究-社会設計を構想する方法としてのゲーム開発- - 紺谷 遼太郎(くらしき作陽大学 子ども教育学部)
幼児教育における「遊び」の変遷:幼稚園教育要領の内容分析から - 小木曽 航平(広島大学大学院人間社会科学研究科)
伝承遊戯の変容と遊び空間の創造に関する人類学的研究 - 井上 明人(立命館大学映像学部映像学科)
ゲームプレイによる行動および認知の変容についての実証研究 - 井上 邦子(奈良教育大学)
虫捕り遊び文化の研究;掌の中の「自然」との向き合い方に着目して - 尾鼻 崇(大阪国際工科専門職大学)
ゲームオーディオの固有性に対応した保存手法確立のためのメタデータ設計とデータベース構築 - 阿部 衛(東京大学 大学院総合文化研究科)
古代ローマ時代における人とスポーツに関する研究 - 平木 剛史(筑波大学 図書館情報メディア系)
造形後に物体表面の色と模様を制御可能な立体物造形手法 - 川野 麻衣子(NPO法人北摂こども文化協会付属研究機関・日本こども未来研究所)
学童期の余暇における遊びの本質 -権利としての遊びを捉える視点- - 貝原 千馨枝(津田塾大学大学院国際関係学研究科)
障害児向け英語学習カードゲーム「44まなキキ」の開発
基調講演 萩野谷俊平(明治学院大学)
エビデンスに基づく捜査面接訓練の開発と提供
萩野谷先生は栃木県警察科学捜査研究所で心理部門担当者として、ポリグラフ検査や犯罪者プロファイリング、子どもや被疑者の面接法訓練の実務・研究開発に従事され、その後ニューヨーク大学上海校を経て現在明治学院大学心理学部の専任講師としてご活躍されています。
警察在職時より面接訓練システム「アバタートレーニング」の開発に携わり、現在も複数の機関と協働してシステムの活用及び機能改善の研究に取り組んでいらっしゃいます。
当財団では「シリアスゲーム「アバタートレーニング」による児童虐待面接訓練」という課題で2019年度研究助成Aに採択されました。その後研究をさらに進められ、子どもアバターによる面接訓練は,岐阜県警察などの公的機関で導入が始まり、その有効性が再検証されるとともに、活用機関の拡大も進められています。
本講演では、助成研究完了後の活用状況や研究の進展について報告するとともに、法執行機関における面接者訓練の展望について述べていただきました。
講評(総括)
最後に、当財団理事大熊健司先生、当財団理事で選考委員長を務める成蹊大学名誉教授の渡邉一衛先生が講評を行いました。
大熊先生は、素晴らしい研究成果を聞かせてもらってよかった。過去2年はオンラインであったが、今回は顔を見ながら発表を聞き、ポスターセッションでは詳しく話を聞くことができて充実した内容で感心したと所感を述べられました。
渡邉先生は支援してよかったと思える発表ばかりで、様々な分野の研究テーマ、研究対象、バラエティーに富んだ内容であり、出席した研究者の方々も周りの研究を見てヒントにもなったのではないだろうかとコメントを寄せられました。また、萩野谷先生の研究の展開について、公的な機関に認められさらに研究が発展していることは大変素晴らしく、今後に期待していると述べられました。