東京大学大学院学際情報学府
文化・人間情報学コース影浦研究室
修士1年生 濱 祐輝
“あそび”をもう一度つくる
私が中山未来ファクトリーに参加したのは、楽しいあそび場を自分たちの手で作り出したいと思ったからです。そのきっかけは、コロナ禍で大学やインターン先の学習塾の授業がオンラインになり、直接会って人とコミュニケーションを取る機会の減少を実感したことにあります。
インターン先の学習塾は、生徒の体験学習などを通して生徒自身の主体的な学習をすすめている塾で、私は小学生から高校生までの生徒の学習サポートをしてきました。
その中で私は、子どもたちに「自ら学びたいと思ってもらうためには、どうすればいいのだろう?」と考えるようになりました。そこで気づいたのが、「教える私自身も常に子どもたちの目線に立ち、子どもたちが楽しめるように工夫する」ことが大切だということ。
しかし、インターン先の学習塾も、コロナウイルスの感染拡大とともにオンライン授業に切り替わり、今までのように子どもたちとコミュニケーションを取るのが難しくなりました。
そこで、「交流の場がオンラインに移ったとしても、コロナ禍以前のようにあそびを通してみんなで楽しめるような空間が作れないか」という発想からゲーム作りを考え始めました。
そんな思いを元に、私が「あそびの未来ファクトリー」の中でつくったのは、『オンラインかくれんぼ』というゲームです。このゲームは、実際のかくれんぼと同様に隠れる側と見つける側に分かれて、インターネット上のWeb サイトに隠れている人を探し当てるゲームです。
遊ぶときは、まず「隠れる人」と「見つける人」に分かれます。隠れる人は『オンラインかくれんぼ』のプログラムに隠れたいWeb サイトのURL を入力します。するとプログラムによってバラバラにされた該当のWebサイトのスクリーンショットが表示されます。画面に映る自分の姿が隠れるようにスクリーンショットをZoom の背景に設定したら、「オンラインかくれんぼ」のスタートです。
一方、見つける人は、バラバラになったWeb サイトのスクリーンショットを手がかりに、どのWebサイトに隠れているのか推理していきます。
隠れる人は、有名な企業のWebサイトを使うとすぐに見つかってしまいます。そこで有名なサイトとよく似ている、別のサイトを使った引っかけ問題を作ったり、自分のお気に入りの知名度の低いサイトを使ったりして、少し難しい問題を作るようにします。
実際に遊んでみると、ほんとうに見知らぬサイトに隠れる人がいて、そこに「誰も知らないサイトだよ!」と笑いが生まれ、とても楽しかったです。
さまざまな行動が制限されるなかで、肩の力を抜いて楽しめるあそび場は非常に大切で、必要だったのだと改めて気がつきました。みんながありのままの自分でいられるあそび場をこれからも大切にしていきたいです。