公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団 公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団

特集

阪口 紗季

2017〜2021年 情報学環オープンスタジオ
/中山未来ファクトリー
特任研究員 阪口 紗季

何ができるのかを、楽しく考えてほしい

 関西大学在学中は影を使ったインタラクティブアートを制作したり、初心者でも電子工作を楽しめるキットを開発したりしていました。中山未来ファクトリーに関わりたいと思ったのは、エンターテインメントやあそびをテーマにした自分の研究を発展させたいと思ったからです。
 中山未来ファクトリーで最初に行ったのは、小学生を対象にしたプログラミングのワークショップ。
 小学生たちから思いも寄らないアイディアがたくさん集まり、特に印象的だったのが、加速度センサーを使った工作です。授業の中では、加速度センサーの使い方は教えていなかったのですが、加速度センサーを見つけた小学生が「これどうやって使うの?」と興味を持ち、隣にいたティーチングアシスタントに質問していました。その子は使い方を教わると、うちわ型のブロックに加速度センサーを取り付けて、うちわを振るとロボットが動きだすという装置を完成させました。
 子どもたちの潜在能力の高さを実感して驚きましたし、子どもたちが進んで考えている姿を見られたので、ワークショップを開いて良かったと思えました。プログラミングなどの技術は学ぶだけではなく、楽しいことに応用してほしいというメッセージが伝わっていたら嬉しいです。
 次に、東大生を対象にしたあそびやゲームをつくるハッカソンを開催。
 「あそびの未来ファクトリー」の実施期間は2週間程度。短い期間ではありましたが、学生同士、非常に密度の高い議論が行われていました。大量の付箋紙や模造紙など、学生たちの議論の跡がオープンスタジオの中に蓄積していくのを見ていると、真剣 に考えてくれたのだと感じて、とても嬉しかったです。
 なかでも私が一番好きなのは、学生たちが作った『つめつめ』というゲーム。画面の中の四角や星形の枠に、スマホで撮った 写真に写っているものを隙間なく詰めていくパズルゲームです。
 『つめつめ』の制作チームがユニークだったのは、発表の際に段ボールで作った枠に実際に印刷した写真を切り貼りして、ゲー ムの様子を実演した点です。技術力だけではなく、観ている人を巻き込んで楽しませたところも高評価の理由でした。
 その後、より多くの学生に「あそびの未来ファクトリー」に参加してほしいという思いから、ゲームデザイン論という授業を 開講。授業で培った経験や知識を生かす場として、「あそびの未来ファクトリー」で実際にあそびを作るという流れを期待して のことです。
 この3つのイベントに、ものづくりのための場所を提供するという立場で関わってきました。みなさんの制作物は見ていてとて も楽しかったですし、全く想像もしなかったアイディアに触れることで、自分自身も発想のヒントがもらえることもありました。
 また、教えるということは新しいものを生み出すことにつながる、非常にクリエイティブなことだと気がつきました。全体 を通じて発見が多く、私自身も成長できたイベントになりました。

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